芸文

芸文で行われたジョバンニ・ミラバッシ・トリオのコンサート「Terra Furiosa」に行ってきました。



Giovanni Mirabassi(P)
Gianluca Renzi(B)
Leon Parker(Ds)

 パンフレットの紹介文にもあった通り、ただのジャズといっては片付かない。クラシック音楽とイタリアのジャズやその即興性を融合させた音楽でした。ピアノに関しては、improvisationが流れる流れる。手からメロディーがさらさらの液体となって流れ出るようでした。キースジャレットの旋律をもっとなめらかに、細かく、すばやくしたような感じでしょうか。ただ、一貫して思ったのは、“魂”ですね。ソウルミュージックというジャンルもあるけれど、ジョバンニ・ミラバッシのimprovisationの中に垣間見る「ソウル」は、鳥肌ものでした。ジャズの即興といえば、その旋律はメロディーに対して直接的でありませんが、その中にふとメロディーを含ませてみたり、あるいは分解して入れてみたり、、そして時に「ソウル」を見せ付けてくれたり――。ただ音楽を聞いてるという感じではなかったように思います。

 ベースに関しては、サイレント(エレキ)ウッドベースを使ってました。トリオとして見るのは初めてだったので、どんなものかかなり興味があったんですが、かなりいい点が見つかりました。まず音の第一印象は、アンプを通してるせいか少しこもって聞こえる。もともとはっきりした音色でないので、これだけは欠点と呼べるかもしれません。
でもそれ以上に、音量が自由。ウッドベースの駒にマイクを取り付けるっていう方法がよく取られるけれど、それ以上に自由に変化させられる。そのせいもあってか、かなりベースが聞こえました。しかも音が残るから、ビブラートをしたらなかなか音が消えない。それを利用してちょっと遊び心を入れた即興もしてました。あとは、軽い・自由なスペースが多いということもあってか、早い動きが得意そうです。Renziのアドリブソロは、楽器どうこうっていうレベルを遥かに超越してましたが、これは結構大きいんじゃないかと。フレンチボウを使って、まるでチェロみたいな美しいソロ(かなり高音部)を弾いたときは、プロ意識みたいなもの(あるいは、クラシック要素?)を感じました。 ――ソロはとにかく速い速い!(よく2本指であれだけ!)

 ドラムは正直カッコいい。バチを落としても、ベースさんが笑ってても、平然と手をバチ代わりにしてソロをする姿は凄いです。(勿論、手で叩くのも立派な奏法です。その人は。)長〜いソロも、よくそこまでもつなぁ、と。ドラムで、曲のテーマを聞かせるってのはかなり高度なことだと思います(たぶん)。遊び心が存分に感じられる演奏でした。


 こんかいのライブは(前回のもですが)、レベルが高すぎるので、はっきり言って目標とか憧れとかいうレベルじゃないですが、やっぱりジャズはいい!ってことを久しぶりに強く実感しました。「ソウル」のあるジャズを演奏出来るようになりたいものです。